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「金と芸術 なぜアーティストは貧乏なのか?」 grambooks

Hans Abbing,
"Why are artists poor?
The Exceptional Economy of Arts",
Amsterdam University Press, 2002.

原題のままだと「なぜアーティストは貧乏なのか?
芸術という例外的経済」となるそうです。

2007.1.1発行
著者 ハンス・アビング
訳者 山本 和弘
発行者 大西 利勝
編集者 黒川 典是
発行所 grambooks
ISDN978-4-903341-00-2

アビングさんはアーティストであり、経済学者。
絵画・写真・ドローイングなどの制作をおこなうとともに
アムステルダム大学で芸術経済学の教授を務めているそうです。

「芸術」それもとくに「現代」「美術」、
欧米における芸術家とそれをとりまくお金のお話、
なんでアートだけが他と違う経済システムになっているのかについて
主に「新古典派経済学」の立場から考察してゆくという本だそうです。

著者は二つの仕事をしているが、それぞれにやはり規範がある、
双方のジブンにとって恥ずかしくない本にしたい、という趣旨のことが
「はじめに」のところに書いてありました。
個人的には、そういう著者の姿勢も興味深いです。

注目の目次はコチラ。
文献や索引も豊富なので研究者にも良さそう。
細かい目次もそそられるんですが大きい章立てだけ。

 はじめに
 第1章 神聖な芸術
        誰が芸術を定義する権力を持っているのだろうか?
 第2章 経済の否定
        マーケットでの収入が見込めないとはいえ、
        なぜ芸術への贈与は賞賛されるのだろうか?
 第3章 「経済的価値」対「美的価値」
        質に対する金銭的報酬はあるのだろうか?
 第4章 無私で奉仕するアーティスト
        アーティストは報酬を志向しているのだろうか?
 第5章 アーティストにとってのマネー
        アーティストは誤った情報を与えられた
        ギャンブラーにすぎないのだろうか?
 第6章 構造的貧困
        助成金や寄付は貧困を増大させるものだろうか?
 第7章 コスト病
        芸術のコストが上昇するために助成が必要なのだろうか?
 第8章 与える権力と与える義務
        なぜ人は芸術に贈与するのだろうか?
 第9章 政府は芸術に奉仕する
        芸術への助成は公共の利益に奉仕するのだろうか、
        あるいは特定の集団の利益に奉仕するのだろうか?
 第10章 芸術は政府に奉仕する
        芸術と国家の関係はどれほど相互依存的なのだろうか?
 第11章 非公式の障壁が芸術を取り巻いている
        芸術はどれくらい自由なのだろうか、
        あるいはどれくらい独占されているのだろうか?
 第12章 結論 残酷な経済
        芸術という例外的経済はなぜ続いているのだろうか?
 エピローグ 芸術の経済の未来
        本書が描き出す芸術の経済は時代遅れであろうか?
 訳者あとがき
 参考文献
 インデックス



アーティストや文化行政・メセナ関係者にぐさぐさ来る文言が踊っていますが
いちおう本書は「日本」は対象から除外していると明記されています。
主としてイギリス、アメリカ(欧米)だそうです。

オランダという美術史的・経済史的な特殊性も本書に関連ありでは、
と訳者さんは書いてます。

各章あたりに、10前後の見出しがならんで
章ごとに「まとめ」もあります。
ちゃんとした「研究書」なのです。

頑張って読もう。
分厚くて重量ありますけど。

入手したいかた、こちら↓からだと割引もあって送料もかからないからオススメ
(私は とげんびのナディフで買いました、旅先では重すぎるがな・・・)

http://geidaipc.wordpress.com/2007/01/24/book_yamamoto_01/

こちらはAmazonの該当ページ
「金と芸術」
(URLが化けてる可能性もあるので、うまくリンクしないときはAmazon内で検索してください)

※ところで、発行者になってる大西さんは、
あのBASE GALLERYの大西さん!?
16年前に私が作っていた雑誌で寄稿していただいたいきさつもあり
感慨深いです。
ますます頑張って、読もう。
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by mcp_fukuoka | 2007-02-18 08:52 | art info/repo